酸と塩基平衡(アシドーシスとアルカローシス)の問題の考え方

 

 中学や高校でリトマス試験紙についてならい、酸性とアルカリ性について学んでこられたかと思います。人体の内部には、酸性のものとアルカリ性のものがあふれかえっています。そして、人体は、極端に酸性に傾いたり、アルカリ性に傾いたりしないように平衡を保つようにコントロールされています。
 国家試験では、この平衡が崩される状況と崩れた時に人体が行うコントロールについてよく出題されます。

酸塩基平衡の要点

 1)血液のPH

 生体の血液の酸塩基平衡(酸性・中性・アルカリ性)は一定に保たれているます。
 血液のpHは7.4です。 

 2)酸性のPH(アシドーシス)

 pHが7.4よりも下がることがあります。
 例えば7⇒6.5⇒6というような場合です。これは、酸性になったことを意味し、「アシドーシス」といいます。 
 なお、酸性とは「H+」が溶けている割合が多くなった状態です。 

 3)アルカリ性のPH(アルカローシス)

 pHが7.4よりも大きな数値となることがあります。例えば7.5⇒8⇒9というような場合です。これは、アルカリ性になったことを意味し、「アルカローシス」といいます。

酸塩基平衡はどのようにコントロールされるか

 1)ケトーシス(糖尿病性)

 糖尿病などではケトン体という物質が作られます。ケトン体とは、アセト酢酸(酸性)です。これが血中に増えると、血液は(酸性)になります→つまり、「アシドーシス」です。

 2)呼吸

 二酸化炭素の元素記号は(CO2)です。二酸化炭素は、「H+ + HCO3-」という形で血液に溶けています。二酸化炭素が多く溶けていれば、H+が血液溶け込みます。H+が増加していますので酸性となります。 つまり、「アシドーシス」になります。 
 呼吸が積極的に行われれば、空気中から酸素を取り入れますので、二酸化炭素は減少します。二酸化炭素が多くなると酸性になりますので、逆に減ればアルカリ性、つまり、「アルカローシス」になります。 
 この考え方を踏まえますと、呼吸困難になれば、二酸化炭素は増加します。ゆえに「アシドーシス」になります。

 3)腎臓におけるアシドーシスとアルカローシス

 腎臓は、H+イオンを排出する器官です。排出障害が起こるとH+を排出できないわけですからH+が増加 します。よって、「アシドーシス」となります。 
 逆に、利尿剤などで過剰排出されると、H+を排出するわけですから、「アルカローシス」となります。

 4)代謝性の酸塩基平衡

 国家試験では、よく嘔吐の問題が出ます。嘔吐とは、胃液が体外に排出されることです。この液は、酸性ですので多量に体外に排出されると、H+の減少を招いていることになります。結果「アルカローシス」になるわけです。


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