筋肉の作用とは
筋肉は、関節にまたがって付いています。筋肉が縮む(収縮する)と関節が曲がったり(=屈曲)、伸びたり(=伸展)します。ほかにも、横に開いたり(=外転)、横から閉じたり(=内転)、外に回ったり(=外旋)、内に回ったり(=内旋)します。そして、それぞれの動きには、屈曲-伸展、外転-内転、外旋-内旋というように名前がついています。
筋肉の作用とは、筋が縮む(収縮する)ことによって、関節がどのように動かすのかを指す言葉です。例えば、筋肉の収縮によって屈曲した場合、その筋肉の作用は屈曲となります。筋肉は、通常特定の作用をもっているわけです。
主導筋と拮抗筋とは
動きについて書きましたが、動きには、曲がると伸びるというように相反するものが存在します。屈曲の反対は伸展、外転の反対は内転、外旋の反対は内旋です。
主導筋とは、動きをメインで行う筋肉のことをいいます。
例えば、Aという関節を屈曲をメインで行う筋肉は、その関節の屈曲の主導筋と呼び、その動きを手伝う筋肉を補助筋といいます。逆に、Aという関節の伸展(屈曲の反対の動き)を行う筋肉を、拮抗筋と呼びます。
主導と拮抗の役割が転換する筋
人間は、いろいろなポジションをとります。肘関節でいえば、手のひらを上に向けたまま(=回外位)肘を曲げることもできますし、手のひらを前に倣えのポジションのように内側に向けて(=中間位)肘を曲げることもできます。そして、手のひらを下に向けて(=回内位)曲げることもできます。
通常、筋肉は、ポジションが変わっても筋肉の作用はさほど変わりません。しかし、働き方が変わったり、作用が変化するものがあります。
1)関節のポジションに応じて働きの頻度が変化
肘関節の屈筋といえば、メインは、上腕二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋です。これらは、すべて肘関節の屈曲に働き協力関係にあります。ただポジションが変わると、メインで働く筋肉が異なります。
それぞれ、上腕二頭筋は前腕が回外位の時、上腕筋は回内位、腕橈骨筋は中間位の際にメインで働きます。筋肉は、関節のポジョンに応じて働きの頻度が変化しています。
2)関節のポジション変化で作用が逆転する筋
手関節を可動する筋は、肘関節に対して補助筋として働きます。 その筋肉とは、次の通りです。
橈側手根屈筋、長掌筋、尺側手根屈筋は、上腕骨の内側上顆から起始し、肘関節をまたいで走行し、さらに手関節をまたいで手根骨や手掌面に停止します。これらの筋肉は、肘の前面を走行しているため、収縮すると肘を屈曲させます。
長橈側手根伸筋、短長橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、指伸筋は、上腕骨外側上顆から起始し、肘関節をまたいで走行し、さらに手関節をまたいで手根骨や手背面に停止します。人体が解剖学的肢位(回外位)をとっている場合、これらの筋肉は肘の背面を走行するので、肘関節の伸展を補助します。
しかし、前腕のポジションを変えると、作用が変化する筋肉が存在します。それが、長橈側手根伸筋です。前腕を回内位にすると、この筋は肘関節の前面を通過するようになります。したがって、ポジションが変更されると肘関節の屈曲に働ます。もちろん回外位の時は肘関節の伸筋として働きます。伸筋なのにポジションが変わると屈曲に働く興味深い筋肉です。
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