【国試受験生必見】装具問題が解けない学生がおさえるべきポイント

 

 国家試験で高確率で出題される問題の一つ、装具に関する問題についてみておきます。
 いくつかの手のポジションとそこに装具が描かれ、その装具は適応かどうかが聞かれる問題が、作業療法士国家試験では必ず出ます。しかも配点が高い。ポイントさえおさえておけば解くことができるので、確実に点数を稼いでおきたい問題です。

装具の問題の特徴

 装具の問題は、次の図のように、手の特徴的なポジションとそこに装具がつけられており、疾患や症状に対して適切なものかどうかが問われることがほとんどです。


 上の図は、カックアップスプリントです。この装具は、下垂手に適応です。下垂手の原因は、橈骨神経麻痺です。ゆえに、橈骨神経麻痺のある患者さんに適応となります。
 下の図は、ナックルベンダーです。この装具は、鷲手に適応です。鷲手の原因は尺骨神経麻痺です。ゆえに、尺骨神経麻痺のある患者さんに適応となります。
 このような形で、図を用いながら装具と疾患や症状との適応が問われます。

装具の問題を解けない人の特徴

 装具問題を解けない人は、まず、図をみて混乱しておられることが多いです。勉強をしておられないわけではないので、装具の名称をいうと適応疾患の名称が出てきますし、鷲手などの症状を問えば、尺骨神経麻痺と原因を答えることができます。でも間違います。
 装具の図といっても、いつも全く同じものではありません。図に書かれたての向きが異なることもあります。よく似ているけど少し形が異なる装具が描かれていることもあります。どうもそうしたときに、これまで覚えた図と症状などの知識とが結びつかなくなることが多いようです。

解くためにおえておきたいポイント

 いろいろな装具をみてまず混乱しないようにしたいものです。そのために行いたいことが、その装具が果たしている目的、つまりどのように固定をしようとしているのか、その方向に力をかけようとしているのかを、ただそれだけを判断できるようになっていただきたいです。できれば、下の図のように、装具によって生じている力をベクトルで表しましょう。

 1)カックアップスプリント


 上の図は、先ほどのカックアップスプリントです。こうした固定式の装具の場合は、3つのベクトルが並び主として真ん中のベクトルが他のベクトルと方向が異なり、三点を固定するような形で、固定力を生んでいます。カックアップスプリントは、図のように、手関節を背屈位にするように力がかかっていることがわかると思います。
 ここまでわかればほぼ答えが分かったといえます。手関節を背屈位にしなければならない症状には、下垂手があります。下垂手の原因は、橈骨神経麻痺です。ゆえに、このスプリントは橈骨神経麻痺に適応となります。ベクトルを入れるだけで、論理的に回答できるのではないでしょうか。

 2)ナックルベンダー



 この図はナックルベンダーです。中手骨のところと基節骨のところについてあるプレートをワイヤーやゴムで引っ張ることでポジションを整えるダイナミックスプリントです。力源がゴムなどのよって発生しているのがポイントです。
 このスプリントについても発生している力のベクトルを入れました。力源を持っているような道具では、3点固定にはなっていません。
 このベクトルを読み解くと、MP関節を屈曲しようとしているのがわかります。ではMP関節を屈曲位に保持しなければならない症状は何でしょうか。鷲手です。鷲手は、尺骨神経麻痺で起こるのでこのスプリントは尺骨神経麻痺の適応となります。

 3)高頻度出題装具

 これまででみてきたように、ベクトルさえ入れられるようになり構造を読み解けるようになれば、ほとんどの装具の問題は回答できるようになります。あとは、高頻度で出る装具を確認だけしておきましょう。
  • 正中神経麻痺・・・・・・対立装具
  • 橈骨神経麻痺・・・・・・カックアップ
  • 尺骨神経・・・・・・・・ナックルベンダーなどMP 関節を屈曲させる装具
  • 脊損(C5)・・・・・・・BFO PSB 
  • 脊損(C6)・・・・・・・掌屈位で把持動作可能となる装具
  • リュウマチ・・・・・・・尺側偏位、スワンネック、ボタンホールに対応する装具
  • 脳卒中・・・・・・・・・パンケーキ型装具
 これらの装具にしっかりと目を通し、力のかけ方、つまり装具の目的がわかればきっとこの問題には正解できるはずです。頑張りましょう。

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