大学・専門学校をやめたい時に検討する事

 


 折角、大学や専門学校に入ったのにやめたいといってくる学生さんがおられます。学生さんの立場に立てば、「辞めたい」と公式に発言するまでにかなり悩み、考え、やっとの思いで表出していることでしょう。やめたい気持ちになることは当然あると思いますが、その時にこそ、しっかりと多方向から考え、結論を出していただきたいです。その自問自答するための検討内容を紹介します。

やめたい辞めたいと思った理由の検証

 1)やめたいと思った時期と期間

 やめたいと思った時に試行錯誤しますが、今後のことを考えるうえで、いつからやめたいと思ったのかを明確にしておきましょう。なにかをきっかけにして芽生えたやめたい気持ちが長い間続いているのか、それとも一時的なものなのか、ポイントポイントのある時期にやめたいと思うのか。いずれでしょうか。 

 2)やめたい理由

 折角、入学した学校です。なぜやめたいのでしょうか。入学したからには、それなりの入学動機があったはずです。もともとの動機が、子どものころからのあこがれであったり、何かの出会いのきっかけで強い目的意識からくる人がいます。
 一方で「親に勧められたから」「浪人したくなかったから」「なんとなく」と自分自身に信念が根付く前に受験をしたら合格通知が来たのでそのまま入学してしまった人もいるでしょう。
 動機が後者の場合、なにかのネガティブ因子がきっかけで、もともとここに自分は来たくなかったんだといった思考になり、やめたい気持ちが増幅してしまいます。今のやめたい気持ちは、やめるためにやめたい理由を増幅させていませんか。増幅させているならば冷静に考えてみましょう。
 他にやめたい理由として、人間関係のもつれ、学業不振、家庭環境、健康上の問題などもあります。あなたがやめたいと思う理由は何でしょうか。

 3)やめたい理由は解決できないものなのか

 やめたいと思った時期と期間、そして理由がみえてきました。その理由は、自分のやり方や考え方を変える、他者の力を借りたり、環境を変えたりすることで解決しないものでしょうか。やめたいと思ってからの期間が長い方は、熟慮されたと思いますが、教員や家族や友人に相談しても解決しなさそうでしょうか。まだ相談されていないならば、一人で決めずに、相談してみるのもいいでしょう。
 やめたい気持ちが突発的に生じて、気分的にも落ち込んでいる場合は、いくら解決策を考えても思い浮かびません。さらに、人から何か言われても肯定的にとらえることができません。悲観的になり、辞めたい気持ち一直線です。
 このようなときこそ、ちょっとだけ立ち止まってください。特に抑うつ傾向の人、突発的にやめたいと思った人は、休学などして大切(重大)な判断を先送りするという選択肢もあります。気持ちが落ち込んでいる時に重大な決定をしないのは、気分が元に戻った時に後悔をしてショックを受けることを防ぐことにつながります。
 実際に、休学して少し時間が経ち、落ち着いて考えてみたら解決できそうだと思い、復学して卒業した方は多数おられます。
 ただし、どうしても解決できないならば、心身状態に悪影響が出る前にやめてしまうのも選択の一つです。

自身の心身の状態

 やめるかどうかの検討をするときに、自分自身の心と体に聞いてみることも大切です。重大な決断をしようとしています。またやめるという行動をとろうとしています。よほど悩んだはずです。そうした場合、我慢をしていると、身体症状が出てくる方がおられます。
 例えば、下痢、不眠、腹痛、吐き気、身体が動かない、脱毛症などです。こうした身体症状が出ている場合、その悩みは心の限界が身体化したものである可能性があります。
 心理面の症状はどうでしょう。例えば、思考がまとまらない、気分が全くのってこない、何もしていないのに涙があふれてくる、自分の身体なのに自分の身体じゃないような気がする。こちらの例は、心の悲鳴です。
 こうした心身の症状が出ている場合、受診をすることも含め、やめたい理由の解決策を他者と相談しながら考え、症状が治まらないなら大学や専門学校と距離をとるのも一つの方法です。無理に我慢をしないでください。

今後の展望

 1)展望がある場合

 今回、大学や専門学校をやめてしまうけれども、逃げるのではなく別で今すぐに取り組みたいことがある。卒業を待っていたら間に合わない。だからやめるのだ。
 この選択の実現可能性がある場合、私はありだと思います。人生における時間は有限です。前向きに次のステップを目指すのであれば、覚悟を持って、全力で回りを説得されるといいでしょう。

 2)展望が無い場合

 ある程度自分自身で踏ん張ることをせず、少し嫌なことがあったという理由であれば、安易にやめることはお勧めしません。今後ちょっと嫌なことがあれば逃げる癖がついてしまいます。ご両親含め自分自身を納得させるためにも、せめてやめたのちの展望を考えそこを目指すという形で前向きにやめる工夫と思考をしてください。
 ただ、心身に症状が出ている時は話は違ってきます。心と身体の悲鳴の度合いによっては、すぐにやめることを選択するのも大切です。

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