丸暗記とは違うおすすめしたい国家試験の勉強方法

 


 国家試験では、マークシートで5つのうち1つあるいは2つを回答し、6割以上の点数をとれば合格します。いわゆる記号問題で時には、勘も使うことができる出題形式です。記述式の試験ではないので、過去問をひたすら説いて出題傾向と回答の組み合わせを丸暗記する学習方法を行う学生さんも時にはいます。
 しかし、この方法では、ある一定のラインになると点数伸び悩みが出てきます。その理由と丸暗記ではなく、おすすめしたいプロセス重視関連付け学習について説明します。回答を導く方法に着目してお読みください。


丸暗記学習のパターン

 1)丸暗記学習を行う人の過去問への向き合い方

 国家試験問題の出題は、「●●のうち正しいのはどれか」というような形で、1~5の選択肢から正解を選びます。丸暗記学習を行う人は、過去問も積極的に解いています。ゆえに、過去問の中から上記のような問題を出してみると、すぐに答えてくれます。
 「ああ、この問題知っています。答えは4です。」「正解です。」
 このようなやり取りが行われます。問題文と正解の回答番号を覚えているのです。この勉強方法は大変危険です。

 2)聞かれ方が変わると回答が出てこない現象

 1)で正解番号を知っている問題について、次のように聞いてみます。
 「4番で正解なんだけど、ではなぜ1番は答えとして間違っているの。」「えっ!」と驚き、そのまま沈黙してしまいます。沈黙までいかなくとも、あいまいな答えしか出てきません。
 結局、出題された問題に対して選択肢を一つ一つ吟味し、理由をつけて肯定したり否定することができていません。国家試験が過去問からしか出題されないのでしたら、選択肢を一つ一つ吟味する必要はありませんが、聞き方を変えてきますので、問題文と正解番号の丸覚えでは限界があります。
 しかし、解剖学、生理学、運動学など出題範囲も限られており、出題パターンのレパートリーも限られている単元ですと、この丸覚え学習でもまずますの点数がとれますので、丸覚え学習で乗りきれると錯覚してしまいますので注意が必要です。

専門問題の出題パターン

 1)論理的プロセスを踏ませて回答を要求してくる問題

 専門問題で多いのは、一般的な知識に加え、論理思考を要求するような問題です。例えば、次の1~3の条件を使って解くような問題が頻発されます。
  1. 身体の中で二酸化炭素が増加すると身体は酸性(アシドーシス)になる。
  2. 呼吸をたくさんすると酸素を取り込み二酸化炭素が減る。逆に呼吸困難や呼吸を少なくすると二酸化炭素が増える。
  3. 身体は、酸性にもアルカリ性にも傾きすぎないように平衡を保つように調整している。
 問:身体の代謝の影響でアシドーシスになっている-----呼吸数増加
 さあ、この組み合わせは正しいでしょうか、間違っているでしょうか。この組み合わせは、正しいです。なぜならば、身体はアシドーシスつまり酸性になっているので、条件3によるとアルカリ性に傾けて平衡を保とうと反応します。では呼吸を使ってアルカリ性に傾けたいならば、条件1に照らすと二酸化炭素を減らすことが必要となります。二酸化炭素を減らしたければ、条件2にあてはめると、呼吸を増やすとよいことになります。ゆえに、問は正解です。
 こうした、一定の条件を覚えているのを前提に、問に対して組み合わせを変えて正解を導く力が要求されます。ここまでくると、問題文と正解番号の丸覚えでは限界があります。

 2)膨大な聞き方のレパートリーでパターン記憶の限界が突き付けられる

 この他にも丸覚え学習の人を揺さぶる問題が出てきます。
 問:ビタミンB1欠乏---------末梢神経障害
 さあ、この組み合わせは正しいでしょうか、間違っているでしょうか。この組み合わせは、正しいです。なぜならば、ビタミンB1の欠乏によって炭水化物の代謝がうまくいかず末梢神経障害を起こします。
 しかし、実はこの例題は珍しいです。これまでは、ビタミンB1といえば脚気と組み合わせを選ぶものがよくでていました。それが組み合わせ対象を末梢神経障害に変化させてきたのです。丸覚え学習の人はこの段階でついていくことができません。
 これだけでなく、出題者側は他にも組み合わせを変えることができます。
   ビタミンB1欠乏の検査------腱反射
   脚気の検査----------------------腱反射
 この例は、すべて関連していますが、丸覚えでパターンを記憶している人はお手あげでしょう。
 

回答へ行きつくプロセス重視関連付け学習

 丸覚えではなく、各単語や名称、手技などの定義や目的を丁寧に押さえ、関連付けていく学習が有効です。ビタミンB1や脚気の例をそのまま使用して考えていきましょう。
 まず、押さえておきたい知識は次の通りです。
  1. ビタミンB1欠乏は脚気
  2. 脚気の検査は腱反射(←一般人も知っているくらい有名)
  3. 腱反射は、シナプス反射で、筋、筋紡錘、末梢神経、脊髄に正常に電気刺激が流れているか、筋が反応するかをみている
 この知識1~3を知っていますと、そうそう聞き方を変えられても答えることができます。
 例1「ビタミンB1欠乏---------末梢神経障害」の組み合わせについて、正しいかどうかわからなかったとしても、知識1~3があれば、正しいことがわかります。ビタミンB1欠乏は脚気になるんだな。脚気では反射検査つまり神経の問題をみる検査をするのだから神経異常が起こるんだろうなと。
 例2「ビタミンB1欠乏の検査------腱反射」の組み合わせについて、正しいかどうかわからなかったとしても、こちらは、知識1と2の組み合わせで正しいことがわかります。
 以上のように、条件となる基礎知識をおさえ、それを巧みに組み合わせ、順序だてて考えることで、知らない知識やこれまで見たことのない問題への対象をできる可能性が広がるといえるでしょう。ぜひとも、回答へ行きつくプロセスを重視しながら関連付けを行って学習されることをおすすめします。

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