国家試験が不合格となる人の8つの傾向


理学療法士・作業療法士と名乗るには、養成校を卒業して国家試験の受験資格を取得し、年に1度だけ開催される国家試験に合格し、その後免許登録をしなければならない。
国家試験の全国合格率は、その年々で若干異なるが、70%〜90%で推移している。

私は、作業療法士を目指す学生の国家試験の学習指導を行っており、現役生、既卒生いわば国家試験浪人生を現在も含め、数多くみている。
国家試験に不合格となる学生さんには、8つの共通点があるように思う。それを書き留めておきたい。
ただし、この共通点に当てはまるからとはいえ、最終的に学習に対する瞬発力がある学生さんはうまく国家試験を切り抜けられるので、8つに当てはまるからといって必ず不合格になると考えなくてよい。

8つの共通点

1)いつまで経っても勉強を始めない

現役生であれば実習が終了し、国家試験の勉強だけに時間をあててよい状態を迎えた。また、国家試験の浪人生であれば、前年度の国家試験の不合格が確定し、来年に向けて勉強しなければならない状態になった。

にもかかわらず、勉強を始めない。

多くは、バイトで生活費を稼がなければならない、家に介護や育児をしなければならない人がいるなどいろいろな理由をつけて学習を始めない。

しかもこれらの理由が急に降って湧いてくる。
これまで、通常の授業があった時には、時間のやりくりができ、遅刻や欠席も全くなかったにもかかわらず、急にやりくりができなくなる。
それも相当な人数の人がこれに当てはまる。

急に、生活環境が変化した人はいるかもしれないが、現実逃避をしている人が相当数いるものと思われる。
彼らは、早く勉強を始めないため、結局、国家試験当日までに学習が間に合っていない。


現実逃避はやめたほうがいいよとお伝えしたい。

  

2)目標となる点数から逆算して勉強しない

目標を決めずに兎にも角にも勉強する方を結構見かける。

彼らに、目標の点数を聞いても答えられない。目標の点数が定まっていないため、その点数を取るための学習スケジュールのイメージはない。

他には、目標の点数を漠然と述べるが、その点数を取るための学習スケジュールのイメージがない人もいる。これでは、計画的に合格を勝ち取ることが難しい。


時間軸を区切り、いつまでに何点をどの分野で取得すると計画を立て、目標点数と相談して行こう。



3)勉強を始めても継続しない

やっと目標が決まり、計画も立て勉強が始まる。しかし、数日から数週間で、行動計画通りに実行しない人が多い。昨今特に増加しているように思う。
国家試験までの時間は、学生さんのもので他者に縛られるものではない。しかし、自由な時間を自分の不足部分を補う時間に当てなければ、いい結果は出ない。

厳しく自己の能力を分析し、行動目標に従わなかったときの結果を予測して行動しよう。

時には、自制も大切です



4)確固たる勉強スタイルがないのに助言も聞かない

勉強時間を確保し、勉強すべき範囲も決まり、学習を実行しているが、本を眺めているだけの人が結構多い。結果が伴ってきているのであればその方法で問題はないが、結果が伴っていないのに参考書を眺め日々を過ごしている。
そんな時に、教員の立場で過去の学生さんのお手本となる勉強スタイルを伝え、また勉強時間だけでなく必要な量も伝え、小テストなども用意するが、提案を却下。
自己のスタイルを変えず残念な結果になっている人が毎年いる。

他者の忠告は聞き一度実行してみることをお勧めする



5)合格点以上を目標にしない

国家試験に限らず、学内で行われる定期テストでも見受けられるが、目標の点数を欠点とはならない最低基準に置く学生があまりにも多く、目標値に達する勉強を行おうとする。

実際に試験をしてみると目標としていた点数に数点足らないといった結果になるものが多い。

ねらって合格点ギリギリを目指しているわけではないと思われるが、合格点さえ満たせばそれでよいという発想では、合格点をギリギリ超えるか若干下といった結果になる。


目標とする点数を合格点から2割程度は高い位置に置くことをお勧めする。



6)知識を点検しない

いわゆる、「知ったかぶり」をする学生がいる。問題をグループで解き、答え合わせをしているとかなり自信を持って正解を言おう。しかし、それが間違っている場合がかなり多い。自信を持っているだけに、一人では見直しも行わないことが多い。一度知ったかぶりをすると自己での知識の点検機会がなくなり、修正がなかなかできなくなる。


知ったかぶりをせず自分の答えが正解だとおもっていても丁寧に点検し、正解が回答が導かれたプロセスを確認していこう


7)参考書以外をみない

国家試験の参考書開くのはよいが、それ以外をみない。小テストやもしなどで新たな疑問や知識が発生した時に、全ての調べ物を参考書で行おうとする学生がいる。聞きたい。あなた方の3〜4年間の学習内容はたった一冊の参考書に収まるのですか。

必要な調べ物は、それぞれの分野の専門書にあたり、それをみて解決した内容はどんどん参考書に書き込みましょう。


8)アナログでの知識をつけない

国家試験前になると時間の制約から、一つ一つ復習をしながら勉強していると間に合わないような気がして、ついつい問題文と答えの組み合わせで理解するようになりがちである。
しかし、同じ問題はそう簡単には出ない。
そこで、アナログ的な知識が有効だ。例えば一つの臓器があれば、そこから階層的に連想したり、同じ機能を発揮する他の臓器を連想したり、その臓器が機能しなかった時に身体にどのような順序で支障が出るのか、それは何病か、などである。

色々な結びつきで理解をしておくと、問題を読み解いた上で、自身の持っている知識を動員して正解を得やすくなるであろう。

以上、いかがだろうか。
小言ばかりを書き留めたような気がするが、何かのお役に立てば幸いです。

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