国家試験に向けた学習を行っていると筋肉に関する問題を解くことができない学生さんによく出会います。その時におすすめし、最終的に効果を上げることが多い学習方法を書いておきます。長文ですが最後まで読んでいただけると何かの気づきにつながると思います。
学生さんが良くやっている筋肉の覚え方
1)国家試験問題を眺める
中には学習が続かない、筋肉の学習を敬遠する方もおられるが、試験合格に向け頑張っておられる。国家試験前になると、筋肉系の国試問題を眺めている人が多いように思います。 問題に慣れるのは重要なので否定をしませんがこれだけでは不十分です。
2)筋肉に関する表を覚える
教科書では、大きくは、上肢の筋、下肢の筋、体幹の筋、顔面の筋に分けられ、筋について、名称・起始・停止・支配神経・作用が表にされています。 これを眺めている、あるいは虫食いにして何度も書いている学生さんが多いです。
国家試験での筋肉問題の出題のされ方と対策
大きく分けると、出題のされ方と対策は次の9つに分類されます。
1)筋肉の付着部位について問う問題(文字)
例えば、「烏口突起に付着する筋はどれか。」というように、文字情報のみで筋の付着部位を聞き、該当するものを選ばせる問題があります。 各筋肉の起始と停止を丁寧に押さえておくと選択肢を絞り込むことができ正解にたどり着くことができます。
学生さんが普段行っている表を使った勉強法を丁寧にやっていれば回答できる確率は高いので、表を使った学習によって筋の種類を覚えつつ、起始と停止を覚えておきたいです。
この問題が優れている、あるいは厄介な点は、単に起始と停止の名称を文字で覚えているだけでは正解できないことです。例えば、上腕二頭筋の短頭も烏口腕筋も烏口突起から起始しています。二つの筋の起始を単に烏口突起と覚えているだけでは、図で付着部を聞かれたときに対応できません。
学生さんが普段行っている表を使った勉強法を丁寧にやっていれば回答できる確率は高いので、表を使った学習によって筋の種類を覚えつつ、起始と停止を覚えておきたいです。
2)筋肉の付着部位について問う問題(図)
最近は、「1」の文字情報だけでなく、骨の図が出てきて、筋の付着部の色が変えられており、その部分から起始しているあるいは停止している筋の名称を選ぶ問題が出題されます。この問題が優れている、あるいは厄介な点は、単に起始と停止の名称を文字で覚えているだけでは正解できないことです。例えば、上腕二頭筋の短頭も烏口腕筋も烏口突起から起始しています。二つの筋の起始を単に烏口突起と覚えているだけでは、図で付着部を聞かれたときに対応できません。
図を使って、各筋肉の付着部位を確認し、答えをみなくとも付着している筋の名称が言えるくらいの力が正解するには必要です。
3)筋肉の断面図
肢の長軸に対して垂直に切った断面図、そう例えていえば、競りでマグロの尾っぽの断面がおかれているように、断面から何筋かを問う問題が時折出題されます。 この問題に対応するには、筋の走行を簡単に理解し、どの部位をどの深さで通っているかを知っておくことが必要です。
しかし、口頭で部位と深さがいえたとしても図のイメージとは程遠いです。
しかし、口頭で部位と深さがいえたとしても図のイメージとは程遠いです。
この手の問題が出題されるのは、教科書に出ているほんの数個の特定の部位に限られているので、図を通して学習しておきたいです。
4)筋肉の触診の可否
例えば、「この中で表層から触診できない筋はどれか」というような問題が出ています。 この問題も、表を使った学習だけでは対応できません。
筋が、どの部位をどの深さで通っているかを知っておくことが必要となります。
これらは、おおむね出題されるターゲットが決まっています。
5)筋肉の通過部位や通過するときの並ぶ順、特定ものを構成する筋の名称
例えば、「手根管を通過しないのはどれか」というような問題や「次のうち最も外側を通る筋はどれか」という問題、「鵞足を構成しない筋はどれか」という問題があります。これらは、おおむね出題されるターゲットが決まっています。
個別の筋をみて、それぞれ判断できるまでの知識を持っていればいうことはありませんが、なかなかそのレベルまで到達するのは大変です。
出題されるターゲットにそってまとめて覚えておく学習が正解までの近道です。
この手の問題は、もちろん表を使った勉強法を丁寧にやっていれば回答できる確率は高いです。しかし、実際に自分の体を動かしながらイメージングできれば正解率はさらに高くなるし、文字だけ(左脳)の記憶だけでなくイメージ(右脳)を使った記憶も使えるので正解率を高められるのではないでしょうか。
この手の問題も、もちろん表を使った勉強法を丁寧にやっていれば回答できる確率は高いです。しかし、たくさんある筋と神経の組み合わせを覚えるのは一苦労です。
6)筋肉と作用の組み合わせ
筋肉と作用を組み合わせた問題、例えば「正しい組み合わせを選びなさい。1.上腕二頭筋--------肩関節屈曲・・・・」という問題や「次のうち体幹の背屈に作用しない筋は」などが出題されます。この手の問題は、もちろん表を使った勉強法を丁寧にやっていれば回答できる確率は高いです。しかし、実際に自分の体を動かしながらイメージングできれば正解率はさらに高くなるし、文字だけ(左脳)の記憶だけでなくイメージ(右脳)を使った記憶も使えるので正解率を高められるのではないでしょうか。
7)筋肉と神経の組み合わせ
筋肉と神経を組み合わせた問題、例えば「正しい組み合わせを選びなさい。1.上腕二頭筋--------筋皮神経・・・・」という問題や「次のなかで橈骨神経支配の筋はどれか」などがあります。この手の問題も、もちろん表を使った勉強法を丁寧にやっていれば回答できる確率は高いです。しかし、たくさんある筋と神経の組み合わせを覚えるのは一苦労です。
同じ神経に支配される筋は、近くを同じようなルートで走行していることがほとんどで固まっています。
神経の走行を図を見て勉強し、筋を塊(グルーピング)で覚えるのも手です。
8)二重神経支配の筋
「この中で二重神経支配の筋はどれか」という問題がほぼ毎年出題されています。 試験対策だけを考えると、出題されるターゲットにそってまとめて覚えておく学習が正解までの近い道です。
9)専門問題での筋力テストや訓練場面で使われている筋を考える問題
筋肉の基礎問題は、1~8のパターンですが、国家試験では各職種の専門性が問われるわけで、解剖学や運動学の知識だけが求められているわけではありません。 人の姿勢や動作を見て、何筋が働いていて、何筋は弛緩しているのかを想像できる力が求められます。
この想像ができるようになるためには、筋肉の走行を自分や他者の身体で再現(走行の再現)ができ、たどることができようになることが必要です。
この想像ができるようになるためには、筋肉の走行を自分や他者の身体で再現(走行の再現)ができ、たどることができようになることが必要です。
さらに、それを短く(あるいは長く)したときに、どの関節が動くのかあるいは固定されるのかを再現(作用の再現)できることも必要です。
(まとめ)やっておきたい学習方法
ベースとして、学生さんがすでに行っている表を使った学習は、大切であり、特に、上記の1),5),6),7),8)で有効であることが分かります。
しかし、5),6),7),8)では、実際に自分の体を動かしながらイメージングや出題されるターゲットにそってまとめて覚えておく学習を加えるとさらに有効です。
上記の2),3),4),9)では、図を通して学習を行い、走行や作用の再現を行う学習をしておかないと対応できません。さらにいえば、図を通して学習や走行や作用の再現の学習を行っておくと、他の形態の問題を解く助けになったり、表を覚えやすくなったりします。
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